孫子の兵法

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孫子×DX DXの成果を可視化する

2024-05-14

 負けない準備をし、地味な成果を積み上げているだけではDX推進プロジェクトがいったいどこまで進んでいるのか、順調なのか、停滞しているのかといったこともよく分からなくなる。
 そもそもDXの成果とは何か、何をもって成果とし、それはどうやって測るのか、といったことも曖昧なままである。
 これでは合理的な判断もできず、敵味方の戦力比較もできないし、意思決定がブレてしまう。だから孫子は、成果を測る基準、物差しを明確にするように説いた。

<軍 形 篇>
 『善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故に能く勝敗の政を為す。法は、一に曰く度、二に曰く量、三に曰く数、四に曰く称、五に曰く勝。』
◆現代語訳
 「用兵に優れた者は、これまでに述べたような勝敗の道理、思想、考え方を踏まえて、進むべき道筋を示し、さらに次に述べるような軍制や評価・測定の基準を徹底させる。だからこそ、勝敗をコントロールし、勝利に導くことができるのだ。その基準とは、第一に、ものさしで測る「度」、第二に、升目で計量する「量」、第三に、数を数える「数」、第四に、比較する「称」、第五に、勝敗を測る「勝」である。」
◆孫子DX解釈
⇒優れたリーダーは、勝敗の道理、思想、考え方を踏まえて、進むべき道筋を示し、さらに次に述べるような軍制や評価・測定の基準を徹底させる。その基準とは、第一に、ものさしで測る「度」、第二に、升目で計量する「量」、第三に、数を数える「数」、第四に、比較する「称」、第五に、勝敗を測る「勝」である。すなわち、データによる評価基準を徹底することである。それができるからこそ組織をコントロールし、勝利に導くことができるのだ。

 業務効率を上げたり、コストを下げたりといった成果は、大切なものではあるけれども地味で、小さなものだ。よく注視しておかないと、DXの成果なのか、たまたまの変化なのかもよく分からなくなる。DXの成果を実感するためにも、経営者が正しい意思決定をするためにも、基準や尺度を明確にしてその結果をパッと見て分かりやすいように可視化するべきである。一般に、KPI(Key Performance Indicator)マネジメントと呼ばれるようなものを想像すれば良いだろう。
 業績の測り方だけを考えても、金額もあれば、件数もあり、前年対比、前月対比の%もあり、売上もあり粗利もあり、営業利益もあり、コスト額もあり、その増減率もあり、といろいろな見方、測り方ができる。DXプロジェクトとして何に取り組んでいるかにもよるが、その進捗度や成果を測る指標を決め、時系列にデータを整理して、グラフや表で可視化するようにしておきたい。
 もちろん、そのためにもデジタルを使う。DXの成果を測るKPIの集計を電卓を叩いて紙に手書きしていては笑い話のようなことになる。デジタル活用すれば、集計は速くて正確だし、グラフなども自動で作られるようになる。デジタルを使っていると言っても、Excelなどにデータを入れて、あっちにコピペ、こっちに転記とチマチマ作業をしていては、やはりDXプロジェクトとしてはNGだろう。
 DXに取り組む以上、少なくとも一日単位では、最新情報を確認できるようにしたい。デジタル活用すれば、リアルタイムでも可能だろうが、ずっと見張っているのも効率が悪い。分単位や時間単位で見たいデータもあるだろうが、集計量が少ないとたまたまの異常値に騙されかねない。多くの場合、デイリーにモニタリングできるようにしておくのが妥当だと思う。もちろん、必要な指標はリアルタイムでも時間単位でも適切なタイミングで確認できるようにしておくと良いだろう。
孫子の兵法をDXに活かすと自社の経営コックピットが出来上がる。これによって勝敗を測る「勝」が見えてくるのだ。

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